love is all you need.

詩と写真とエッセイと。芸の肥やしとして。

森と渋谷

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響く揺らぐさえずる

どこからともない声に

私は震える

 

すがるように息を吸い込んでも

吐きだす余地なき世界は

暗くて寂しい森のむきだし

 

冷たいビルの隙間

風が暖かいのは救い

 

刻々とネオン渦巻く午前2時30分

並々とタンクに注がれる涙を

受け止めてくれる人は

ここにはいない

 

わたしはどこ

きみはだれ

 

川面に浮かぶ蛍の光石英

北極星が甲高く鳴いています

電波塔 赤褐色の灯りは彼方に

交差点 闇夜の足元に光る白木よ

 

わたしを導け

 

あゝ 人波にさらわれる心地よさが憎い

夢破れて山河あり

自然も文明も

 

あなた抜きでは始まらない

 

(world)ー(www.com)

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もしも世界から

インターネットがなくなったら

この瞬間にあなたが

存在していることはわからない

 

画面上

投稿や返信によって知る

あなたという軌跡が

あなたの遺影を前にして

わたしの心にあまる残像と

同じ類のものだとしたら

 

見つめ合うときにだけ生きている

ひんやりとした頬や温かな涙が

わたしを生かしているということなのだろう

 

世界を見つめる

その時を同じくして

どこにも見つかることのないわたしの瞳

月はただ煌々と輝く

 

生まれた時からインターネットはある

生まれる遥か前から世界はある

 

捉えているようで

捕らえられている感覚は

どちらも変わることなく

 

そうした所在なさに

あなたがわたしをヒタリと据える